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研究内容
薬剤耐性菌が増加すると、感染症に罹患した際に使用できる薬がなくなってしまいます。近年、食用動物由来薬剤耐性菌が食品を介して人に伝播するリスクについてさかんに議論されており問題となっています。1999年から農林水産省が行っている食用動物由来薬剤耐性菌モニタリングシステム(JVARM; Japanese Veterinary Antimicrobial Monitoring System)により、食用動物由来薬剤耐性菌の現状やその伝播については徐々に解明されてきています。しかし、食品、伴侶動物や環境由来薬剤耐性菌の人への伝播については良くわかっていません。当研究室ではJVARMで取り扱われない食品、伴侶動物や環境由来薬剤耐性菌の耐性メカニズムやその迅速診断方法を研究してきました。その結果、食用動物以外の薬剤耐性菌の伝播についても徐々に明らかになってきています。そこで、近年は疫学調査から具体的な薬剤耐性菌対策につながるような研究も行っています。
食品由来薬剤耐性菌に関する研究
動物由来薬剤耐性菌に関する耐性メカニズム及びその迅速判定法についての研究を行っています。対象菌種は大腸菌、腸球菌、サルモネラ、カンピロバクター、クロストリジウム等です。
伴侶動物由来薬剤耐性菌に関する研究
伴侶動物はヒトと密接にかかわることから、伴侶動物がヒトに薬剤耐性菌を伝播する可能性があります。そこで、伴侶動物由来薬剤耐性菌に関する疫学解析等を行っています。また、伴侶動物の細菌感染症に有効な物質の研究も行っています。
環境内の薬剤耐性菌拡散メカニズムにおける衛生昆虫・動物の役割
環境中に存在する薬剤耐性菌が、人や動物に拡散する際の堆肥や衛生昆虫、野生動物の果たす役割についての研究を行っています。環境中の薬剤耐性菌/耐性遺伝子を制御するための研究を行なっております。
薬剤耐性菌の迅速判定法の開発
抗菌薬を適切に使用するためには、薬剤耐性菌を迅速に検出・判定することが重要です。そこで、迅速に判定するための培地の開発や、遺伝子検出法(マルチプレックスPCR法やnanopore sequencer)の開発を行っております。
乳房炎原因菌を迅速に同定するための培地比較を行い、ポスターにしました。ポスターにしておりますので、ダウンロードして、同定に活用してください(下の画像は1枚のみ、全てのポスターのPDFはここをクリックでダウンロード)。
電子ポスターですので、他の細菌を追加して欲しいや修正のアイディアがありましたら、気軽に連絡をください。可能な限り反映したいと思っております。
また、牛に限らず豚や伴侶動物でも比較のポスターが欲しいなどの要望がありましたら連絡をください。作成に向けて検討をしたいと思っています。
薬剤耐性菌対策としてのファージ・プロバイオティクスの研究
動物由来薬剤耐性菌対策として、各種ファージやプロバイオティクスの実用化に向けた研究を行っています。